候補者たち

名刀大選挙とは

高知城歴史博物館の企画展「福を呼ぶ城博のお正月」で展示する刀剣がエントリー。
昨年に引続き「刀 銘 国時」「刀 号 今村兼光」「刀 号 一国兼光」「刀 銘 康光」の重要文化財4振。さらに山内家ゆかりの「刀 銘 兼常」が新たに参戦します。

「名刀って言われたって、全部同じに見える。。。」
ご心配無用!この企画にあわせて学芸員がそれぞれの刀の特徴をキャラクター化しました。「刃文」「映り」「茎」。呪文のような刀用語もキャラクターたちが身をもってわかりやすく解説します。
刀の個性が見えてきたら、あなたのお気に入りをクリックしてみてください。

そして!ぜひ!博物館へ!実物に会いに来て下さい。刀カードなどいろいろご用意してお待ちしております。

投票方法

  • ・投票箱のボタンから投票フォームへ!お好きな刀にチェックを入れて送信してください。
    ・展示会場でも選挙を行なっています。
    ・HP、会場の集計結果は随時、twitterで発表していきます。
  • 【投票期間】2019年11月22日(金)〜2020年1月27日(月)

現在の投票状況

公式SNSも要チェック!




重要文化財の太刀5振、一挙公開!大選挙エントリー刀のご紹介

刀の精たちの姿は、刀の特徴を表現しています。
ENTRY 01

太刀 銘 国時

太刀 銘 国時

刃長 78.8cm 反り 2.4cm
鎌倉時代末期(14世紀前期)
掛川神社蔵

クニトキ
  • すらりとのびた優美な姿。
  • 目釘孔は1つだけ。作られた当時のまま!
  • 刃文は直刃(すぐは)。
  • 映りは目立たない。
  • 2代藩主が掛川神社に奉納しました。金蒔絵、葵の紋入りの拵(こしらえ)が残されています。
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太刀 銘 国時

肥後国菊池(現在の熊本県菊池市)の刀工国時は、山城国(現在の京都府)来派の流れを汲みます。この刀も来風のおっとりと優美な姿が特長です。

  • 姿:鎬造、庵棟。腰反り気味の輪反り。先が細く、踏ん張りがある(鋒から茎にむかって幅が広くなっている)。小鋒。
  • 茎:孔1、生茎(磨り上げられていない茎)。
  • 刃:細直刃、ところどころに小丁字乱れがある。帽子(鋒の刃文)は少し乱れこんで小さく返る。
  • 沸・匂:小沸よくつき匂い深い。
  • 地:板目杢目交じり、刃縁で少し柾がかる。地沸よくつく。
  • 映り:鎬寄りにかすかな棒映り。
  • 拵:金梨地葵紋蒔絵糸巻太刀拵。
  • 伝来:2代土佐藩主山内忠義が掛川神社に奉納。
ENTRY 02

太刀 号 今村兼光

太刀 号 今村兼光

刃長80.6cm 反り 2.0cm
建武3年(1336)
高知県立高知城歴史博物館蔵

イマムラ
  • 深く深く澄んだ地鉄に一見ひかえめな刃文。内に秘めた強い力を感じさせるたたずまい。
  • 目釘孔は4。磨り上げはなし。
  • 刃文は直刃。
  • 映りは乱れ映り。
  • 大岡越前が持っていた刀です。拵は伝わっていません。
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太刀 銘 (表) 備前国長船兼光 (裏) 建武三年丙子十二月日

兼光は備前長船(現在の岡山県瀬戸内市)の刀工。長い活躍期間の前後で大きく作風を変えます。今村兼光は初期の作品の中でもひときわ古風で、豪壮な姿、控えめな刃文が特徴です。

  • 姿:鎬造、庵棟。腰反りだが反りは浅い。身幅はあまり広くなく踏ん張りがある。中鋒。
  • 茎:孔4、生茎
  • 刃:直刃、間遠に小丁字と小乱れが交じり、小足さかんに入る。帽子は乱れ込み、先小丸となり、浅く返る。
  • 映り:乱れ映り立つ
  • 地:小杢目肌つまる。
  • 彫刻:(表)棒樋丸止め 八幡大菩薩 (裏)棒樋丸止め 不動明王種子
  • 伝来:大岡越前守忠相→今村長賀→山内家
ENTRY 03

太刀 号 一国兼光

太刀 号 一国兼光

刃長75.5cm 反り2.1cm
文和4年(1355)
高知県立高知城歴史博物館蔵

イッコク
  • 土佐藩主山内忠義が「土佐一国に替えても手放さない」と言ったというエピソードで有名。
  • 目釘孔は2つ。銘の真下まで磨り上げられ(短くされ)ています。
  • 刃文は小湾れに互の目交じり(ゆるやかな曲線のところどころに山型の曲線がある)
  • 映りは乱れ映り。
  • 太刀(刃を下にして腰帯に吊す刀)として作られましたが、現在残されているのは打刀(刃を上にして腰帯に差す)用の拵です。
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太刀 銘 (表)備前国長船兼光 (裏)文和二二年乙未十二月日

「太刀 号 今村兼光」と同一人物が作った刀ですが、一転、伸びやかな鋒、華や かな刃文となっています。 藤堂高虎から「もし将軍様がこの刀を所望されたら?」と問われた土佐藩主山内忠 義が「土佐一国に替えても手放さない」と言った、というエピソードが知られてい ますが、土佐藩・幕府双方の記録によれば、寛永13年(1636)に3代将軍家光から 帰国の挨拶の際に下賜されたもののようです。

  • 姿:鎬造、庵棟。腰反り、反りはやや高い。身幅はやや広い。中鋒延びる。
  • 茎:孔2、磨り上げ。
  • 刃:小湾れに互の目尖り刃交じり、小足入る。帽子は乱れこんで尖りごころに返る。
  • 沸・匂:匂い口しまりごごろに小沸つき、匂い口冴える。
  • 地:小板目肌よくつみ、地沸細かにつく。
  • 映り:乱れ映り立つ。
  • 彫刻:(表・裏)棒樋掻き流し、腰に細い腰樋を添える。
  • 拵:黒塗打刀拵
  • 伝来:徳川家光→2代土佐藩主山内忠義。忠義が「土佐一国に替えても手放さな い」と言ったとされている。
ENTRY 04

太刀 銘 康光

太刀 銘 康光

刃長82.7cm 反り3.2cm
室町時代初期(14世紀末-15世紀初)
掛川神社蔵

ヤスミツ
  • よく鍛えられて美しく整った鋼は、潤いさえ感じさせます。
  • 目釘孔は2つ。
  • 刃文は互の目乱れ。
  • 映りは棒映り。
  • 10代藩主が掛川神社に奉納しました。雲鶴葵文様の錦で包まれた拵(こしらえ)が残されています。
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室町時代の備前長船派は応永備前と呼ばれ、康光はその代表的な刀工の1人です。 南北朝の戦乱が終わると、刀は大きく・厚く・華やかな作風から、鎌倉時代へリバイバルします。この刀も、先細の優美な姿です。

  • 姿:鎬造、庵棟。腰反りで反りは高い。先が細くやや踏ん張りがある。小鋒。
  • 茎:孔2、生茎
  • 刃:匂い出来の互の目乱れ、乱れ足葉よく入る。帽子は乱れこんでわずかに返る。
  • 地:板目肌、ところどころ流れ柾交じる。よく錬れて潤美。
  • 映り:棒映り、ところどころに乱れ映り。
  • 彫刻:(表・裏)棒樋・添え樋掻き流し。
  • 拵:雲鶴葵紋錦包糸巻太刀拵
  • 伝来:10代土佐藩主山内豊策(とよかず)が掛川神社に奉納

ENTRY05 大太刀 南海太郎は今回は不参加です。

ENTRY 06

刀 銘 兼常

刀 銘 兼常

刃長71.2cm 反り2.3cm
安土桃山時代(16世紀)
高知県立高知城歴史博物館蔵

カネツネ
  • 切れ味・実用性に定評ある関の刀ですが、よく練れ、風格のある落ち着いたたたずまい。
  • 目釘穴は2。生茎。
  • 刃文は直刃。微細な打ち除けがみられます。
  • 映りは棒映り。
  • 竹中半兵衛-毛利勝信-山内忠義と受け継がれました。
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刀 銘 (表)兼常 (裏)金象嵌:八 松平土佐守忠義

兼常は美濃国関(現在の岐阜県関市)の刀工で、室町時代から数代にわたり活躍しました。この刀は文禄(1593-96)頃に活躍した9代のものと推測されます。質の良い地鉄がよく鍛えられており、実用性と落ち着いた美しさを兼ね備えた刀です。

  • 安土桃山時代(16世紀) 高知県立高知城歴史博物館蔵
  • 姿:浅い輪反り。
  • 茎:孔2、生茎。
  • 刃:中直刃。微細な打ち除け、金線、砂流しが見られる。帽子は小丸。
  • 映り:棒映り、白気映りがある。
  • 地:小板目肌がつみ、綺麗な肌となる。
  • 伝来:竹中半兵衛→毛利勝信→山内忠義

刀の見かた チェックポイント8

実はとっても個性豊かな刀たち。
そんな個性を見分けるポイントを
いくつかご紹介します。

  • 1

    刃文

    ~刀の刃(白く見える部分)の文様~

    刀を作る時、熱した刀を水で一気に冷やす「焼き入れ」という作業を行います。この時、あらかじめ、刃になる側には薄く、反対側(棟)には厚く土が塗られています。焼き入れによって、土が薄い部分は急速に冷えて硬い組織に、土が厚い部分や刀内部はゆっくり冷めて軟らかく粘り強い組織に変化します。この後、刀全体を研ぐと、硬い部分(刃)は白く、軟らかい部分(地)は黒く見えるようになります。この白い部分の文様を「刃文」と呼びます。刃と地の境界が直線的なものを「直刃(すぐは)」、曲線のものを「乱れ刃」と呼びます。土の塗り方によって刃と地の境界は様々な表情を見せます。

  • 2

    沸・匂(にえ・におい)

    ~白くかがやく粒子~

    刀の表面に光を当てたときにきらきらと輝く粒子で、肉眼で個々の粒子が見えるものを「沸」、霧のように細かいものを「匂」と呼びます。その正体は、軟らかい組織の中に混じっている硬い組織です。研ぎによってごくわずかな高低差が生まれた結果、白く浮き上がって見えるようになるのです。これらは、地と刃の境に最もはっきりと現れ、刃文を構成しますが、地の中や刃の中にも現れて、刀の表情に奥行きを与えます。

  • 3

    映り

    ~刀の地に現れる白い影~

    刀の地の部分に現れる、白い影のような文様です。これも、軟らかい組織の中に混じっている硬い組織が、研ぎによって白く浮き上がって見えるようになったものです。直線的なものを「棒映り」、そうでないものを「乱れ映り」と呼びます。

  • 4

    鍛え肌

    ~刀の表面に現れる木目のような文様~

    刀を鍛える時には、熱した鋼を平たく打ち延ばし、折り返して重ね、さらに打ち延ばすという工程を繰り返します。折り返すことで生まれた層の重なりが刀の表面に現れたものが「鍛え肌」です。 木を年輪の中心付近で縦に切ったときに見られるようなまっすぐ通った縦じまの文様を「柾目肌」といいます。中心から離れたところで切った板の木目のように見える文様を「板目肌」、同心円状の文様を「杢目肌」といいます。

  • 5

    (なかご)

    ~作り手と使い手の歴史が刻まれる~

    刀の手元側の、柄(つか)に入る部分を茎といいます。刀を柄に固定するための穴(目釘孔)、作者名、制作年月日などが彫られ(切られ)ています。 刀の持ち主が穴の位置を変えただとか、短くした(磨り上げた)だとかといった、その刀の歴史を読み取ることができます。

  • 6

    刀身彫刻

    神仏の姿や名号のほか、直線状の溝(樋、ひ)などがあります。樋は、刀の強度を保ちつつ重量を減らすために彫られます。

  • 7

    (こしらえ)

    刀の容れ物で、茎を収める柄、刀身を収める鞘(さや)、鐔(つば)などから成ります。漆や金具、組紐、革など様々な素材や細やかな細工を楽しみます。

  • 8

    伝来

    ~逸話を楽しむ~

    歴史上の人物が持っていたり、興味深いエピソードが伝わっているものが多いのも、刀の魅力の1つです。

刀の鑑賞ポイントはほかにももっとたくさんありますが、このコンテンツでは、今回展示する刀に関連の深いものをピックアップしてご紹介しています。また、研究者によって用語の使い方が違うことがあります。

参考文献
谷村熈「日本刀の冶金学的研究」鉄と鋼67-3、1981年
小笠原信夫『刀の鑑賞基礎知識』至文堂、1995年
渡邉妙子・住麻紀『日本刀の教科書』東京堂出版、2014年

ぜひ、企画展会場で
本物の迫力を味わってください。

展示室内でも投票を受け付けています。

そしてなんと!

会場では、刀のキャラクターカードをお配りしています。
どれがもらえるかは、来てのお楽しみ!