展示
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さんごをまとう―あこがれの帯留・かんざし―

開催中

2026/03/20 - 2026/05/24

■さんごの国土佐からお送りする展覧会
明治初年に至るまでさんごの産地は地中海に限られていました。日本近海でも網にかかったり釣り上げられたりすることはあったのですが、ぜいたく品を禁止する政策もあり、積極的な漁は行われてこなかったのです。
しかし明治初年、高知の沖でさんご漁が始まります。当初は海外への輸出が中心でしたが、大正から昭和初期にかけて、日本人の好みに合わせて精緻な彫刻を施した帯留・かんざしが流行しました。
危険な海に挑み、漁獲量や価格の変動、海外との競争など数々の困難を乗り越えてきたさんご産業の本場・高知からお送りするこの展覧会。さんごならではのやわらかなつや、あたたかな色味、そして精緻で遊び心あふれる彫りをお楽しみください。
開催期間 2026/03/20 - 2026/05/24
観覧料 ●800円(常設展含む/団体20名以上640円)
●高知城とのセット券1040円(常設展含む)

●高校生以下の方は無料(名札や学生証等ご掲示ください)
●高知県・高知市長寿手帳をお持ちの方は無料(長寿手帳をご掲示ください)
●身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳、被爆者健康手帳所持者と介護者1名は無料(各手帳をご掲示ください)

展示のみどころ

■展覧会SNS
InstagramXで日々、さんごの帯留・かんざしを紹介しています。

 

1 玉のかんざし

地中海からやってきた指先ほどの大きさのさんごの玉。その1粒を主役にした玉かんざしは江戸時代後期から流行が始まり、以後長く愛され続けます。

もっと小さなビーズは「びらびらかんざし」や精緻な彫金のモチーフと取り合わされ、金工の技を引き立てました。


◆1つ玉のかんざし
吉原の花魁を描いたシリーズの一枚。いくつも挿されたべっ甲かんざしの1つにさんご玉があしらわれている。ちなみに打掛の文様はさんご漁。
一つ玉をつかったかんざしは、江戸時代後期、文政年間(1818-1830)ころから流行。


◆ひょうたんかんざし
さんご玉を2つ使い、ひょうたんを表したかんざし。嘉永年間(1848-1854)ころから流行。


◆びらびらかんざし

たくさんの吊り下げパーツをつけた「びらびらかんざし」は天保年間(1830-1844)ころから流行。やや遅れてさんごのビーズもあしらわれるようになった。


◆彫金かんざし
廃刀令を受けて、刀装具の職人がかんざしや帯留を手掛けるようになる。銀や真鍮の精緻な細工に、小さなさんご玉をそえたかんざしが数多く作られた。写真は、竹で編んだ炭取に切り花が添えられた様子を表したかんざし。

 

2 彫刻かんざしの登場

大正時代に入ると、日本産のさんごの大きさを生かして、彫刻を施したかんざしが登場します。
このころには日本髪より簡易に結える洋風の髪形「束髪」の普及も進んでいました。束髪用のかんざしは間隔の開いた2本ないし3本足から成ります。大ぶりのさんご彫刻は、束髪用のかんざし足に取り付けられました。

◆彫刻かんざし
それぞれ色調の違うさんご3片で菊をあらわした束髪用かんざし。

3 彫刻帯留の百花繚乱

明治時代の後半ころから着物の模様は徐々に写生的で階調の豊かなものになっていきます。描かれる草花も伝統的な菊や牡丹に加え、薔薇や洋菊など西洋の草花がとりあげられるようになっていました。
さんごの彫刻帯留もこの風潮に乗って、伝統的な和物モチーフをリアルに立体化したものや、こなれた表現で和洋のモチーフを折衷したものが多く見られます。

◆彫刻帯留
着物の模様から抜け出してきたような波千鳥。平面的な千鳥と半立体的な月・波の対比が面白い。


◆彫刻帯留
伝統的な波乗り兎の意匠。こちらは兎も立体的となり、さんごの色とあいまって肉感的ですらある。


◆彫刻帯留
菊、牡丹などの花1つをを大きくあしらった帯留が数多く作られた。この菊は深い彫りで花弁の凹凸に至るまでリアルに表している。


◆彫刻帯留
右に牡丹、左に薔薇。和洋の花々が違和感なく取り合わされている。


 

■ 宝石さんごの豆ちしき

① 宝石なのに石じゃない、枝なのに植物じゃない

3月の誕生石の1つ「さんご」。宝石として扱われていますが実は石(鉱石)ではありません。海に住む刺胞動物~クラゲやイソギンチャクのなかま~の骨格を磨いたものです。そう、さんごは動物なのです。

② さんご礁には、いません

宝石になる種類のさんごは、光あふれるさんご礁ではなく、水深百~千メートルの暗く冷たい海の底で何十年もかけて枝のような姿に育ちます。さんご漁師は長い長い縄の先におもりを付けた網を海底に流し、枝をからめて引き上げるのです。

③ 人の手がみがきあげる、深海の恵み

さんご製品には、原木の枝ぶりを生かした「拝見」や、切り出して加工したビーズやカボション、彫刻を施したアクセサリー、置物などがあります。深海でゆっくりと緻密に育ったさんごは、磨かれて深くやわらかなつやを放ちます。